なぜ製品を調べる前に要件整理が必要なのか
LPに関わるツールや外注サービスを調べ始めると、「ノーコードで簡単」「高品質なデザイン」「マーケターが自走できる」といったキャッチフレーズが並びます。しかしそれらは、まったく異なる課題を異なる戦略で解くものです。要件を整理せずに比較を始めると、自社の状況に合わないものを高く評価したり、適切なものを見落としたりしやすくなります。
情報収集の段階でやることは一つです。「何を解こうとしているか」を言語化して、社内で合意することです。
まず課題をどう分解するか
LPへの投資を検討するきっかけは様々です。「コンバージョン率が低い」「施策のたびにエンジニアを巻き込んでいる」「新商品のLPを毎月作りたい」「ブランドイメージに合うデザインがほしい」――それぞれの課題に対して有効な戦略パターンは異なります。
課題を一言でまとめずに、以下の問いに分解してみてください。
- いまLPがない、または足りていない状態で何が起きているか
- 現在誰がどのように作って、どのくらい時間がかかっているか
- 更新や改善をどれくらいの頻度で行いたいか
- 誰が運用するか(マーケター、エンジニア、外部業者)
なぜ「現状維持」という代替案を外してはいけないのか
情報収集の段階で見落とされがちなのが、「既存ページの改修で代替する」という選択肢です。すでにトラフィックのある既存ページのCTAを変える、ファーストビューを見直す、フォームを簡略化するだけで、目標のコンバージョン改善が達成できるケースがあります。
この戦略パターンは「現状維持」と呼ばれますが、ネガティブな意味ではありません。追加費用をかけずに成果を出せるなら、それが合理的な選択です。他の選択肢と並べて評価するために、このパターンも比較テーブルに入れておいてください。
自社の優先軸をどう4軸で比較して言語化するか
要件整理に使えるシンプルなフレームが4軸の優先順位づけです。
- 「コスト」をどこまで抑えたいか
- 「スピード」はどのくらい重要か(数日で公開したいか、数ヶ月かかっても品質を取るか)
- 「インパクト」にどれだけ期待するか(コンバージョン改善の規模感)
- 「内製化」をどこまで進めたいか(長期的にエンジニア依存を下げたいか)
これらの優先順位が見えてくると、どの戦略パターンに近いかが自然と絞れてきます。たとえばスピードとコストを最優先にするなら、ノーコードテンプレートや生成AI活用のセルフ制作が候補になります。品質・ブランド統一を優先するなら、デザイン会社への委託が選択肢に入ります。量産体制を長期で持ちたいなら、マーケ専用CMSの内製化が視野に入ります。戦略パターンごとの向き不向きはLP制作のアプローチを比較する:戦略パターン別の向き不向きと5軸評価で詳しく整理しています。
Must要件とWant要件はどう選び分けるか
優先軸を定めたあとは、具体的な機能や条件をMust(なければ成立しない)とWant(あれば嬉しい)に分類します。この分類をせずに比較を始めると、Wantが多く揃っているオーバースペックな選択肢を選びやすくなります。
Mustの例:エンジニア不要で更新できる、フォームがCRMと連携できる、特定のセキュリティ基準を満たす Wantの例:A/Bテスト機能がある、ヒートマップが使える、テンプレートの種類が多い
Mustが複数ある場合は、さらに「どちらかを諦めるとしたら」という問いで順位をつけておくと、比較段階で迷いにくくなります。
「買わない条件」はどう先に決めておくべきか
情報収集の段階で決めておくべき最後のことが「買わない条件」です。投資対効果が成立しないケース、既存ページ改修で十分なケース、運用体制が整っていないケースなどを事前に定義しておくと、比較段階で「なんとなく導入する」という意思決定を防げます。
具体的には、「月に制作するLPが○本未満なら現状維持で対応する」「社内にコンテンツ更新の担当者を確保できなければ外注委託にする」といった条件を書き出しておくと、判断基準として機能します。
情報収集の段階でよくある失敗例とは
情報収集の段階でよくある失敗が、要件整理を飛ばして製品比較に進んでしまうことです。目的や運用体制を言語化しないまま候補を並べると、スペックの異なるものを同じ土俵で評価してしまい、判断がぶれやすくなります。もう一つの失敗パターンが、Must要件とWant要件を区別せずに「機能が多いものが良い」と判断してしまうことです。また、既存ページの改修という選択肢を検討せずに新規投資を前提にしてしまうことも、後になって「もっと安く済んだのでは」という後悔につながりやすい失敗です。
料金はこの段階でどう考えておくべきか
情報収集の段階では、具体的な料金を比較する必要はありませんが、コストの捉え方だけは早めに合わせておくべきです。ライセンス費や制作費といった初期費用だけでなく、運用にかかる工数や社内教育、将来的な拡張・乗り換えのコストまで含めた中長期の総コストで考える視点を持っておくと、比較段階でのミスジャッジを防げます。金額そのものは各パターン・各ベンダーによって大きく異なるため、この段階では「何にコストがかかるのか」という項目を洗い出しておくことが重要です。稟議を通す際に必要となる3年トータルコストの考え方はLP投資の稟議を通すために:3年トータルコストと定着リスクの考え方で扱います。
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